異常検知とは、AIがもつデータの中から正常値と異なる異常値を検知するシステムです。ここでは、AIの開発事例の中でも異常検知に絞った成功事例を取り上げて紹介しています。
鉄鋼・非鉄金属などの導電性材料に対しておこなう非破壊検査法「渦電流探傷試験」にて、AI技術を使った損傷検出システムを導入。ボイラーなどの熱交換機器などの強磁性伝熱管を対象に、株式会社 Laboro.AIの特許取得済み検査技術「強磁性チューブ渦電流探傷技術(FTECT:エフテクト)」をAIに応用しており、波型データの特徴から損傷個所を検出します。
このカスタムAIは、2020年5月より現場業務での試験運用で使用が開始され、最終的な不良判断は人がおこなっています。導入前と変わらない高い検査品質でありながら、作業処理できる数が増加。これまでのデータ解析処理数量と比べて60%ほどの増加が期待できると言われています。
業界 | 製造業界 |
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開発企業 | 株式会社 Laboro.AI |
工場の製造ラインを撮影した動画から、良品と不良品を見分ける不良品検知をAIで対応できるようにしました。良品と不良品を見分けるルールをAIが学び、判別するアルゴリズムを深層学習や画像処理技術で構築しています。
学習では良品のみを覚え、それ以外は異常検知として検出するように、Googleの深層学習ライブラリ「TensorFlow」のアルゴリズムを適用。それにより、製品の良品・不良品の判定だけでなく、製造ラインの検品画像データへの高い検知精度と速度評価を可能にしています。
プロトタイプによるテスト稼働では、一定の精度で不良品を検知する事に成功。次に、完成したプロトタイプを実際に稼働している工場で実証実験を開始。速度を上げての生産効率向上を目指しています。
業界 | 製造業界 |
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開発企業 | 株式会社ブレインパッド |
一般財団法人関西電気保安協会と株式会社ALBERTが、高圧受変電設備にて異常時に発生する電圧電流波形データから、その原因を探るAI波形分析手法を共同開発。2021年12月より導入を始め、異常が起こった際のデータを蓄積することで原因追及の精度を高め、保安管理業務のスマート化を目指しています。
AI波形分析手法とは、高圧絶縁監視装置が零相電圧・零相電流から異常を検知すると、AI波形分析手法が組み込まれた集中監視システムに波型データが送信され分析。不具合カ所を特定し、原因を推定します。
このシステムの導入により、これまで特定の人の経験や勘に頼っていたのが、全ての技術員が確認できるようになり、現場での判断や対応処理が効率化されました。
業界 | 製造業界 |
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開発企業 | Accenture(旧Albert) |
大手旅行会社が提供している旅行情報において、掲載している画像が他のホテルで流用されていないか、また同じホテルなのに異なる名称で複数登録されていないかなどを解決するため、「PicMatch」の類似画像検索を使用。掲載されているホテルの写真を相互に比較し、流用されていないかどうかを判定することで、不正掲載を予防しています。
「PicMatch」の判定処理にかかる時間は、数十万とある画像をデータバッチで処理するため1~2日ほどかかります。リアルタイムでの処理も可能ではあるものの、コストがバッチ処理よりも高くなります。「PicMatch」で判定した後、人による目視もおこなうことで精度を高めています。
業界 | 旅行業界 |
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開発企業 | 株式会社エーエヌラボ |
運営しているECサイトにおいて、不正な注文パターンをAIで抽出。不正購入の可能性が高い発注パターンを機械学習で学び、検知された受注に人がチェックすると言うオペレーションを確立しました。
不正購入に多く利用されているのがクレジットカード払い。クレジットカードをスキミングして商品購入を不正におこなおうとするユーザーに対して、AIがその利用は適正かどうかを検知・判断。不正購入を阻止する手段になっています。他にも、さまざまな不正注文のパターンを洗い出し対応しています。 システムを導入した事で不正を未然に予防し、業務負荷も減少。既存のルールも併用していることから効率的なチェックができるようになりました。
業界 | 小売業界 |
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開発企業 | 株式会社MatrixFlow |
異常検知にAIを導入することで、人の目視検査などが不要になり、ヒューマンエラーの予防や人件費削減、他の業務に集中してできるなど、業務効率化へのメリットがあります。
人の確認作業では、ちょっとした変化でも影響されやすく、それが取りこぼしなどのミスを誘発することになります。AIではそうした影響を抑えることができます。
また、AIが細かい作業をおこなうことで、人にしかできない作業に集中しておこなえるようになります。
異常検知を行うために必要なデータでは、特に正常値のデータが大事となります。
AIへの学習は、ベテラン検査者の知識や経験と同レベルの正常値データを集めなければ始められませんので、慎重に集める必要があります。それらの数値化されたデータから作る学習用データは、正常値と異常値をはっきりと区別させることで、検知結果の精度が高くなります。
また、センサーで音や温度を検知して数値化することからも、収集するデータに適したセンサーを選ぶ必要があります。
異常検知をAIに導入する際には、正常値と異常値の境界線をはっきりと区別しておくのがポイントです。曖昧だと検知精度が低くなってしまいますので、データ集めには時間をかけてじっくりとおこなうのが良いでしょう。
異常検知のAI開発を成功させるには、導入前はもちろん、導入したあとも密にコミュニケーションを取れるベンダーに依頼するのがおすすめです。TOPページでは企業の課題解決に向き合う人材やサポート体制に力を入れているベンダーをピックアップして比較していますので、是非比較・検討の参考にされてみてください。
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【選出理由】
Laboro.AI:調査した40社のうち、業界知識を持ち、ビジネスコンサル経験豊富な担当者が要件定義・PoCの段階から保守・運用まで対応してくれるという、「伴走」が期待できる記載があったため。
Accenture(旧Albert):調査した40社のうち、最もデータサイエンティストの在籍数が豊富で、統計学や金融学といった分野の研究も行なっているという「データ分析・活用」が期待できる記載があったため。
KICONIA WORKS:調査した40社のうち、最も社員在籍数が少ないながらも、少数精鋭で早期に顧客価値を生み出す、無駄なコストを削減といった「スピード対応・低予算」が期待できる記載があったため。
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