目的や場所において必要な正常音や異音をAIが学習し、故障や不具合などのトラブルの早期発見を可能にする異音検知。ここでは、AIの開発事例の中でも異音検知に絞った成功事例を取り上げて紹介しています。
人が話した言葉をロボットが認識・解析し、話している内容から好みを読み取り、おすすめのキャンディをピックアップするAI「Find Your Candy」を構築。AIが物体を発見・認識してピックアップする技術を、各種業種やシーンで実用化する事を見据えたプロジェクトです。
「Find Your Candy」には、Googleが提供している機械学習APIを使用しており、Google の深層学習ライブラリ「 TensorFlow 」を用いて、言語処理には「Word2Vec」、画像処理には「CNN(Convolutional Neural Network)」を採用。転移学習という手法でCNNを学習しています。ハードウェアには、幅広く応用ができる低価格での購入ができるものを採用しています。
業界 | 情報通信業界 |
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開発企業 | 株式会社ブレインパッド |
株式会社アープのAI・ディープランニング技術から開発された製品「類似判定AIシリーズには、決められたカテゴリに分ける「分類・仕分け」、無数のデータの中から似ている製品をピックアップする「検索」、2つの対象製品やサービスから類似度を判定する「検証」、イメージに近い製品やサービスをピックアップし提示する「提案」の4タイプ。
この技術を使った音声認識事例には、医療機器用の音声検出や判別するアプリ開発や、様々な種類の機械音を判定するAIなどがあります。その他、フォーマットの異なるバーコードの読み取り率を向上したAIや、異音検知から工具を判定する工具紛失検知AIの検証(POC)、AIによる人物特定エンジンの開発と実績があります。
業界 | 情報通信業界 |
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開発企業 | 株式会社アープ |
熟練の技術者であれば製造時の画像からおおよそのスランプ値を推定することは可能ではあるものの、後に続く職員にも同じレベルまで育てるのは困難。そこで、AIによるシステムの開発に着手。スランプ値を判定するシステム「生コン品質判定システム」です。ところが、AIの異音検知技術でスランプ値判定精度は高くなったものの、粉塵や水蒸気で画像データが曇ったり乱れることで判定精度が低下してしまう事態に。
そこで、製造時の音に注目し、音響判定を取り入れて画像データで足りない部分を補佐することに。株式会社バーナードソフトの異常音監視のシステムを導入。判定精度を以前と変わらない状態にまで戻しました。今後は、設備監視にも使えるように検討を進めています。
業界 | 製造業界 |
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開発企業 | 株式会社バーナードソフト |
Hmcomm株式会社の異音検知プラットフォーム「FAST-D」は、様々な職種やシーンで使われています。養豚場では熟練の職人や獣医が豚の咳やくしゃみから、呼吸系疾患の兆候や発情状況を検知していますが、「FAST-D」で検知することで省力化と安定した状況把握ができるようなりました。他にも人の目視に頼っているところは多く、熟練の技による発見から、異音検知のあるシステムの導入に切り替えが進んでいます。
ある工場では、パイプラインなどで起こりやすい“つまり”を「FAST-D」で事前に検知して、定期点検前に知ることができるようにしました。また、さらに、デジタルサイネージなどの音による公告効果の測定では、通行人の速度や足音を検知して効果測定に役立てています。
業界 | 製造業界 |
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開発企業 | Hmcomm株式会社 |
株式会社NTTデータCCSの異音検知ソリューション「Monone」は、AIが機械の音を学習してモデルを作成します。正常時の音の音圧や周波数をモデル化し、測定音を分析。専用マイクで周囲の造音をカットし、金属から伝わる音を直接集音し、リアルタイムで正常音と乖離した音を検知します。
「Monone」は、異音検知をオートメーション化することで保守業務を効率的にしたり、音による完成品検査の定量化、装置の状態を定期的に測定しコンディションを計ったりするなどが主な使い方。これまで、風力発電機の遠隔監視やポンプの健全性診断、食品機械の動作不良などに導入されています。スペシャリストによるコンサルティングサービスで、適切なAIシステムと提案してくれます。
業界 | 情報通信業界 |
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開発企業 | 株式会社NTTデータCCS |
AIによる異音検知が行われていなかった頃は、熟練の技術者の経験や勘で判断していました。ただ、そのやり方ではヒューマンエラーのリスクや、後世への教育や少子高齢化などのデメリットがあります。AIによる異音検知は、人の手によるリスクを解消し高精度な診断を可能にするだけでなく、作業のオートメーション化や常時監視など作業効率の改善にもなります。
また、事が大きくなる前に発見することができるので、修理も容易で、他への影響も少なくてすみます。
異音検知システムは、対象音の集音、音響解析、機械学習アルゴリズムの作成の順でおこなわれます。異音がほとんど起こらない場所での稼働では、正常音のみを集音し、外れ値検知で正常音以外の音を異常としてAIに学習させます。特定の音だけを異音にしたい場合は、正常音とあわせて目的の異音も集音します。
誤検知を予防するためにも、正常音と異音のデータがバランスよく学習できるようにします。
異音検知を効率よく活用するには、どのような場所でどのような時に発せられる音に反応させたいのかをはっきりと決めるのがポイントです。また、判断に必要な正常音と異音の学習はバランスよく十分に行うことで、誤検知を予防し、感度のよい異常検知を作ることができます。
異音検知のAI開発を成功させるには、導入前はもちろん、導入したあとも密にコミュニケーションを取れるベンダーに依頼するのがおすすめです。TOPページでは企業の課題解決に向き合う人材やサポート体制に力を入れているベンダーをピックアップして比較していますので、是非比較・検討の参考にされてみてください。
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