物流倉庫は、EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化に伴い、業務効率化とサービス向上が求められています。これらの課題解決に向け、AI(人工知能)の導入が本格化しました。物流倉庫の特徴と課題、そしてAI導入の成功事例を紹介します。
利用者の不在による再配達の増加や、時間指定配送の柔軟性不足が課題となっていました。
そこでヤマト運輸は、自動運転車による配送サービス「ロボネコヤマト」の実証実験を実施。
このプロジェクトでは、AIを活用して配送ルートを最適化し、10分刻みでの配送時間指定を可能にしました。再配達の削減と顧客満足度の向上が期待されています。
| 対応内容 | 配送 |
|---|---|
| 開発企業 | ヤマト運輸 |
倉庫内でのピッキング作業において、スタッフの1日あたりの歩行距離が平均11kmに達し、業務負荷が高い状況でした。
家具・インテリア大手のニトリは、倉庫業務においてAI搭載のピッキングロボット「バトラー」を導入。
このロボットは、AIによって最適なラック配置を算出し、商品棚ごとスタッフの元に運ぶことで、ピッキング作業の効率が向上。その結果、従来の人力作業と比較して4.2倍の効率化を実現しました。
| 対応内容 | ピッキング |
|---|---|
| 開発企業 | ニトリ |
EC市場の拡大に伴い、効率的な配送計画の立案が求められていましたが、熟練者の経験に依存しており、業務負荷が高い状況でした。
日立製作所は、AIとIoTを活用した配送最適化サービスを提供。このサービスは、車両ごとの配送先や配送日時の割り当て、配送ルートの策定、積載率や稼働時間、走行距離の算出を自動で行います。
熟練者の経験に頼らずとも効率的な配送計画の立案が可能となり、業務負荷の軽減と効率化を実現しました。
| 対応内容 | 配送 |
|---|---|
| 開発企業 | 日立製作所 |
日本通運では、AIやロボットに強みを持つRapyuta Roboticsと共同で、AI(人工知能)を用いた自走式ロボットを物流センターに本格導入しています。こちらのロボットは、深刻になりつつある人手不足の解決を目的として導入するもので、自走式ロボットとロボットの管理・制御を行うクラウドシステムはRapyuta Roboticsが開発しています。
2019年に東京都内の物流センターにて実証実験が行われており、その際にはピッキングに必要となる時間を20%ほど減らせることが確認できています。
| 対応内容 | ピッキング |
|---|---|
| 開発企業 | Rapyuta Robotics |
サントリーMONOZUKURIエキスパート株式会社では、物流子会社のサントリーロジスティクス株式会社と富士通株式会社が共同開発したフォークリフト操作のAI判定システムを導入しています。これまで倉庫でのフォークリフト操作についてドライブレコーダーを装備して状況を確認することで、安全品質の向上や可視化に取り組んできたものの、映像の確認に手間がかかる点や評価が曖昧である点などが課題となっていました。
このシステムは、ドライブレコーダーの映像をAIによって解析することが可能。このことにより業務省力化とこれまで定型化が難しかった作業評価の標準化を行い、安全品質の向上につながります。
| 対応内容 | 安全性向上 |
|---|---|
| 開発企業 | サントリーロジスティクス株式会社、富士通株式会社 |
物流倉庫は、商品の保管、輸送、配送を通じて消費者や企業に価値を提供する重要な役割を担う業界です。
近年、EC市場の急速な成長により、物流量は増加の一途をたどっています。この成長に伴い、以下のような課題が浮き彫りになっています。
厚生労働省の調査によれば、運輸業における労働者不足の割合は56%に達しており、全産業平均を大きく上回っています。
さらに、トラックドライバーの高齢化も進行中。持続可能な人材確保が課題となっています。
消費者の多様なニーズに対応するため、配送の最終段階であるラストワンマイルの効率化が求められています。再配達の増加は業務負荷を高める要因です。
国土交通省の調査によれば、2023年10月時点で再配達率は11.1%となっています。
参照元:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000736.html)
増加する物流量に対応するためには、倉庫内作業や配送ルートの最適化など、業務全般の効率化が必要です。
しかし、これらの業務は依然として人手に依存しており、AIによる効率化の余地が残されています。
物流倉庫業界では、ピッキングや仕分けの自動化・効率化の部分などでAIが活用されています。具体的には、AIを搭載した自走式ロボットや自動棚搬送ロボットを導入することにより、スピーディーなピッキングや仕分け作業を行えるとともに、正確性の向上や人手不足の解消に寄与しています。
また、在庫管理や需要予測にもAIが活用されています。過去データやリアルタイムの情報をAIが「分析することによって、適切な在庫量や在庫配置の提案が可能に。過剰在庫や欠品を防げます。
AIの活用により、人材不足の解消や省人化に取り組めます。ロボットやAIを活用した自動化を行うことによって、慢性的な人手不足を解消し、現場の負担を軽減しています。また、ロボットがピッキングや仕分け、在庫管理を行うことにより、作業効率の大幅なアップが可能。この点から、コストの削減・納期の短縮につなげられます。
そのほか、AIによる重要予測・在庫管理が可能となることから、過剰在庫や欠品のリスクを低減できる点も大きなメリットです。
AIを活用したシステムや、AIを搭載したロボットを導入する場合には、初期導入コストが大きくなる傾向がある点に注意が必要です。また、導入後にも運用コストやメンテナンス費用も発生するため、投資に対してどれくらいの効果が得られるのかを検討した上で、導入について判断することが必要といえます。
さらに、AIの導入により現場の業務フローや運用ルールの見直しが発生します。この点については、現場の理解を得ながら進めていくことが大切です。
例えば「ピッキング作業にかかる時間を20%短縮」といったように、AIの導入によって解決したい課題を明確にするという点が重要です。また、現場と連携をしながら導入していくことも、AIを活用していく上では重要なポイントです。その上で、まずは特定の倉庫や工程のみで小規模導入からスタートし、しっかりと効果を検証してから他の倉庫など導入を拡大していくことも、導入において大切な部分であるといえます。
まず、「AIの導入」を目的とするのではなく、現場における具体的な課題を明確にした上で、その課題の解決を目的として導入を行うことが大切です。また上記でも説明していますが、初めは特定の倉庫での導入を行うといったように、段階的に導入を行うのもポイントのひとつ。しっかりと導入効果を確認するとともに、課題となる部分がないか確認しながら導入を進めていくことで、大きなトラブルを未然に防ぎながらAIを活用することができると考えられます。
物流倉庫でAI活用を成功するには、現場の課題を正確に把握し、それに適した技術を選定することです。人手不足を解消するためには自動化技術を、再配達の問題には配送ルート最適化を活用するなど、解決策を明確にする必要があります。
また、AI導入は単なる技術の実装にとどまりません。現場のスタッフがAIの仕組みを理解し、円滑に利用できるよう教育や研修を行うことが大切です。さらに、AIは導入後もデータ収集と改善を繰り返し、精度を高める運用が求められます。
成功事例に共通する要素は、課題解決に向けた深い理解、AIの適切な選択、そして現場との連携です。これらを徹底することで、AIを物流業務に効果的に活用し、持続可能な運営が可能となるでしょう。
こちらではAI活用について、各業界別に成功事例を紹介しています。
各業界では、AIがどのように活用されているのでしょうか。ぜひ確認してみてください。
このメディアでは、AI開発を始めたい企業向けにさまざまなAI受託開発会社を紹介しています。TOPページでは企画・設計段階から課題解決に寄り添うAI受託開発会社を現場の課題別に紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
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※1 参照元:AIRUCA公式HP(https://airuca.com/top-message/)
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ネットワークカメラの映像からAIが転倒者を自動検知し、設定時間経過後にアラート通知することで、人員コスト削減と警備強化を両立。スポーツジムや製造現場などで一人作業時の緊急事態に即座に対応できる、ディープラーニングによる精度向上が可能な転倒検知システムです。
不審者事前検知AI開発
引用元:AIRUCA公式HP
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異物検知AI開発
引用元:AIRUCA公式HP
(https://www.youtube.com/watch?v=MwsTMIuQIDo)
ラスパック内に混入した小エビを色・形状の差異から高精度に検知する様子を示したものです。外観検査における不良品や規格外品の異常検知にも幅広く応用可能です。
AIスマートパーキング
引用元:AIRUCA公式HP
(https://www.youtube.com/watch?v=4lMYyymqeI8)
AIエッジコンピュータとネットワークカメラによる画像解析で駐車場の空き状況・混雑状況をリアルタイムに把握し、出入ライン監視や車室ごとの「満・空・混」判定を行うことで、駐車までの時間短縮とストレス軽減します。
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