ドローンAI活用

ドローンAIの導入・開発事例

インフラ老朽化対策を支援する橋梁点検AI

NTT e-Drone Technologyの橋梁点検AIドローンのイメージ
引用元:NTT公式サイト
https://www.nttedt.co.jp/edrone-ai

NTT e-Drone Technologyは、ドローンで撮影した映像をAIで解析し、橋梁などのインフラ構造物の異常を自動検出するソリューションを提供しています。ドローンが撮影した高精細映像から、AIが「ひび割れ」「錆」「塗装の剥がれ」を約95%の精度(社内検証値)で自動検出します。

従来、足場を組んで行っていた目視点検作業を自動化することで、点検時間を最大で約70%削減し、高所作業の安全リスクも大幅に低減します。撮影から解析、報告書の作成までをワンストップで提供し、地方の老朽化インフラ点検の人手不足解消に貢献しています。

送電鉄塔のボルト異常を検出する自律飛行AI

KDDIスマートドローンと東北電力ネットワークは、AIドローンによる送電鉄塔の異常自動検出システムを共同開発しました。ドローンが鉄塔を自動飛行しながら高精細画像を撮影し、AIが「ボルトの緩み」や「部材の欠落・腐食」といった異常を自動で判別します。

広範囲に点在する鉄塔の点検を少人数かつ短時間(従来比約60%短縮)で行えるようになり、熟練技術者の減少に伴う技能継承の課題にも対応します。LTE通信を活用したリアルタイムなデータ伝送とAI解析により、点検漏れや確認ミスを防ぎ、電力インフラの安定供給を支えています。

GPS不要、屋内空間を自律飛行する点検AI(SLAM)

株式会社アラヤは、GPSが届かない工場、倉庫、プラントといった屋内空間でも安定して自律飛行できる点検ドローンAIを開発しています。機体に搭載されたAIが、カメラ映像からリアルタイムで自己位置を推定し、障害物を回避しながら経路を計画する「SLAM技術」が中核です。

AIは自律飛行と同時に、撮影映像から「ひび割れ」「腐食」「漏れ」などの異常箇所も自動で検知します。人が立ち入れない狭隘な場所や暗所でも安全に点検作業を自動化し、労働力不足の解消と作業安全性の抜本的な改善を実現します。

ドローンAIを導入するメリット

高所・危険箇所の作業を自動化し安全性を向上

橋梁、鉄塔、プラントの高所、傾斜地、構造物の裏側など、従来は作業員が危険を冒して点検していた場所も、ドローンAIなら非接触・無人で対応可能です。AIによる自律飛行や障害物回避機能により、人が立ち入ること自体のリスクをゼロにし、作業員の安全性を飛躍的に高められることが最大のメリットです。

特に老朽化が進むインフラ点検や災害時の状況把握など、危険が伴う現場ほどAIドローンの価値は高まります。

点検・監視業務の大幅な効率化とコスト削減

AIを搭載したドローンは、広範囲の点検ルートを短時間で自律的に飛行・撮影できます。従来のように、点検のために足場を設置したり、作業員が長時間かけて目視確認したりする必要がなくなり、点検にかかる時間、人手、コストを大幅に削減できます。

AIが映像解析まで自動で行うため、異常箇所の特定や報告書作成にかかる後続作業も効率化され、業務プロセス全体の生産性が向上します。

高精度なデータ取得と予防保全への活用

AIによる画像解析は、人の目では見落としがちな微細なひび割れ、錆、ボルトの緩みといった異常も高精度に検知できます。また、ドローンは赤外線カメラやLiDAR(3D点群)など多様なセンサーを搭載でき、目視では得られないデータを取得可能です。

これらのデータはクラウドに蓄積され、「どの箇所が経年劣化したか」を時系列で比較・分析できます。これにより、異常が深刻化する前に対応する「予防保全」が可能となり、構造物の長寿命化に貢献します。

ドローンAI活用に必要なデータとは?

AIの「目」となる多様なセンサー・映像データ

ドローンAI開発の基盤となるのは、機体に搭載されたセンサーから得られるデータです。人間の目にあたる「RGBカメラ映像」に加え、熱異常を検知する「赤外線(サーマル)カメラ映像」、構造物の3次元形状を精密に捉える「LiDAR(3D点群)データ」などがあります。

どのような異常を検知したいか、またはどのような環境(屋内・暗所など)で自律飛行させたいかによって、必要となるセンサーデータが異なります。これらの多様なデータを組み合わせることで、AIはより複雑な状況判断が可能になります。

AIの「教師」となるアノテーション(注釈)データ

収集した映像やセンサーデータに対し、「ここがひび割れである」「これは正常なボルトである」といった正解ラベルを付ける作業(アノテーション)を経たデータが、AIの学習に不可欠です。

特に重要なのが、「正常な状態」のデータと「異常な状態」のデータの両方をバランスよく学習させることです。また、雨天や夜間、逆光といった様々な撮影条件のデータを網羅することで、実環境の多様な変化に対応できる頑健なAIモデルを構築できます。

安定飛行と高精度解析を実現する付随データ

AIが安定して自律飛行し、精度の高い解析を行うためには、映像以外の付随データも重要です。機体の位置情報(GPS)、飛行経路、高度、速度といった「飛行ログデータ」や、点検対象の建物の配置、鉄塔の構造といった「地理・環境データ」がそれにあたります。

特にGPSが届かない屋内空間で自律飛行(SLAM)を実現する場合、カメラ映像と機体の姿勢・加速度データ(IMU)を組み合わせて自己位置を推定するなど、複数のデータを高度に統合する技術が必要とされます。

【まとめ】ドローンAIの開発を成功させるには?

ドローンAIの開発を成功させるには、まず「どの場所で(高所か、屋内か)」「何を検知・自動化させたいか(ひび割れか、侵入者か)」という目的を明確にすることが不可欠です。目的によって、搭載すべきセンサー、収集すべきデータ、必要なAI技術(画像認識か、自律飛行か)が全く異なるためです。

ドローンAIの開発を成功させるには、導入前はもちろん、導入したあとも密にコミュニケーションを取れるベンダーに依頼するのがおすすめです。このサイトでは、企業の課題解決に向き合う人材やサポート体制に力を入れているベンダーを紹介していますので、是非ご参照ください。

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※1 参照元:AIRUCA公式HP(https://airuca.com/top-message/)
※2 参照元:Accenture公式HP 2021年2月の実績(https://www.accenture.com/jp-ja/case-studies/applied-intelligence/tepco)
※3 参照元:ブレインパッド公式HP 2024年12月調査時点(https://www.brainpad.co.jp/ir/individual/)